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アドベンチャーバイク(BMW R1250GS)のタイヤを、最低限の道具で手組みで交換する!

修理・点検・メンテナンス

 ホイールとタイヤを持ち込めば1,000円でタイヤ交換してくれるショップがあるのですが、まさか店先で自分でホイールを外して「はい、お願いします」というわけにはいきません。

 となると、家でホイールを外してからクルマで持ち込むことになるのですが、ショップは案外と遠く、往復1時間ほどもかかるのです。

 自分でタイヤ交換ができればどれほど便利か、いつも思っていました。

 ちなみに、子供の頃から自転車のパンクは自分で直していましたし、ロードバイク(チューブレス)のタイヤ交換も自分で行いますので、ビード落としやビード上げの知識もあれば苦労も知っています。最近では、クルマ(BMW F10)のタイヤ交換も、レンタルピットのタイヤチェンジャーを借りて自分でやってしまっています。

 そんな背景もあり、バイクを購入した際には自分でタイヤ交換をおこなう前提でタイヤレバーやリムガードは購入していましたが、新しいホイールに傷を入れたくなかったり、ネットに「バイクの手組みタイヤ交換は超タイヘン。2度とやりたくない」のコメントが溢れていたりで、ついつい1,000円で作業をしてくれるショップに流れてしまっていました。

 しかし、一歩踏み出さねば、いつまでも自分でタイヤ交換ができないままです。

 フロントタイヤがライフを迎えつつある今、ついに一念発起し手組みでのタイヤ交換に挑むことにしました。

 ただし、頻繁に使いやしないモノを増やしたくないことと、(いくらか遠いとはいえ)わずか1,000円でタイヤ交換をしてくれるショップがあることを鑑み、最低限の道具でタイヤ交換にチャレンジし、それでムリなら、つまりビードブレーカーのような余計な道具を購入せねばならないようなら、以後は1,000円のタイヤショップにお任せしようとの思いで挑むことにしました。

 タイヤレバーやリムガードは必須ですが、これはすでに購入済みでした。

 このほかに用意したのは、2×4木材で自作した井桁とビードヘルパーです。

 ビードヘルパーについては、レンタルピットでクルマのタイヤ交換をする際に必ず使っていましたし(ピットのものをお借りしていました)、失敗された、あるいは酷い苦労をされた方の談を読んでいると、それってビードヘルパーがあれば苦労せずに済んだのでは?と思えることも多々あったため、(モノは増やしたくはなかったのですが)これだけは追加導入しました。

 結果として、ビードヘルパーを追加導入したことは大正解でした!
 これから手組みタイヤ交換に挑まれる方に、熱烈おススメいたします!

 まずは、フロントタイヤを外します。

 センタースタンドでバイクを固定し、エンジンガード前方をパンダジャッキで持ち上げ、フロントタイヤを浮かせます。

 ホイールを外す際に干渉しますので、フロントブレーキキャリパーは左右共に外しておきます。

 フロントアクスル緩み止めのヘキサロビュラを外します。

 アクスル左側は19㎜の高ナットを供回り止めとし、右側のフロントアクスル固定ボルトを17㎜のソケットで外し、アクスルシャフトを抜けばホイールが外れます。

 フロントアクスル供回り止めの専用工具は、このようなものも市販されています。

 各種サイズに対応できるものなので、複数台のバイクをお持ちの方は購入されてもよいかもしれませんが、わすか百数十円の高ナットでも十分に代用できます(力のかかる個所ではありません)。

 新旧のタイヤを比較しましょう。

 ちなみに、私がR1250GSに履かせているのは、MICHLIN ANAKEEY ADVENTUREです。

 このタイヤはR1250GSの標準タイヤとして採用されたものですが、少なくともオンロードでのパフォーマンスはとても良好ですし、まだあまり機会はありませんが、少々のガレ場にも躊躇なく入っていけます。

 今後、林道やオフロードを本格的に愉しむようになれば、MICHLIN ANAKEEY WILDかMETZELER Karoo 4あたりが欲しくなるでしょうが、その場合はホイールももう1セット購入し、シーンによって使い分けることを考えるのがよいかもしれません。

 サイズは、フロントが120/70 R 19、リアが170/60 R 17。

 価格.comをみても、最近ではamazonがタイヤ専門店を凌ぐ価格を提示しています。今回、私はamazonでの購入でした。

 こちらが、新旧タイヤの写真です。

 スリップサインまでまだ少し余裕がありますが、ここまで使えばもう十分でしょう。ブリッジが露出し、確実にパフォーマンスは低下していました。

 なお、このタイヤには本来のスリップサインのほかに、一見スリップサインにも見えるブリッジというパターンがあります。旧タイヤはブリッジは露出していますが、まだスリップサインは出ておらず、ライフが完全に終わったわけではありません。

 ブリッジやスリップサインについては、ミシュランのお客様相談室に確認しました。

 さて、タイヤの交換です。

 まずは、バルブコアを外しましょう。専用のドライバーで外せば、勢いよくエアが抜けます。

 抜けたら、タイヤとリムの間にタイヤレバーをこじ入れ、全周に亘って、少しずつビードを落としていきます。1周したら、2本のレバーを近接でこじ入れ、てこの要領で、今度は少し思い切ってビードをホイールの中央部に落とし込むよう操作します。

 ちょっとコツは必要でしたが、たいした苦労なくあっけなくビードが落ちました!

 タイヤをひっくり返し、裏面も同様にビードを落とします。

 あとは、タイヤレバーをテコのように使ってタイヤ(ビード)を外します。

 ビードヘルパーが活躍するのは、この時です。

 下に示した、タイヤ、ホイール断面の模式図をご覧ください。
 (図は、ダンロップのホームページから引用しました)

 図から、ホイール中央部には凹部があり、端面部に比べて径が大きくなっていることがわかります。

 ビードの径とホイール端部の径を比べると、後者の方が大きくなっています。ですので、ビードがホール端部に位置していれば、これを引っ張って外すことは困難です。

 しかし、ビードをホイール中央部に保持させておけば、この部分は端部よりも径が大きくなっていますから、その対角からビードをホイール外にひっぱり外すことが容易となります。

 ホイールにビードヘルパーを装着すると、ヘルパーの丸い形状の部分がビードにあたり、ビードをホイール中央部に保持する働きをしてくれるのです。

 これが、ホイールからタイヤを脱着する際にビードヘルパーが役に立つ理由です。

 ホイール内部に嵌っている2つのビードのうち、まず片方を外していきましょう。

 最初にこのような配置でビードヘルパーを装着し、その対角辺りをタイヤレバーでこじり、ビードの一部を外します。ヘルパーの位置をずらしながらその対角をレバーでこじることを繰り返せば、片方のビードは外れます。

 もう片方のビードを外すのはもっと簡単で、一部を外せば、あとはグイッと力をかけることでスパンとはズレます。

 これで、タイヤを外すことができました! 

 意外とあっさりタイヤを外すことができましたが、前日の洗車時にこのようなタイヤスプレーを吹いておいたことが功を奏したのかもしれません。ネットの体験談によれば、このタイヤスプレーをビードワックスの代わりに使っていらっしゃる方も多いようです。

 続いて、新しいタイヤを装着しましょう。

 このようなビードワックスを使用するのが王道でしょうが、私は買い忘れていました(苦笑)。

 なので、食器用洗剤 JOYで代用しました(笑)!

 この洗剤、私的にはマルチパーパスで、本来の食器洗浄のほか、洗車やロードバイク(自転車)のチェーンクリーナーとしても大活躍です。

 JOYの原液をビードの両面にたっぷりと塗り、タイヤを嵌めていきます。

 ビードヘルパーに助けられながら、タイヤレバーをテコとして使用し組み込めば、案外とあっさりタイヤを組み込むことができました!

 さて、最後の難関、ビード上げです。

 柔らかいロードバイク(自転車)のタイヤでは、エア注入時にビードから空気が漏れてしまい、散々苦労をした憶えがあります。クルマのタイヤのビード上げはカンタンでしたが、バイク用はどうかな。

 クルマ(BMW F10)のトランクにタイヤを積み、ガソリンスタンドへGoです!

 まず1軒目。

 このような全自動タイプのエアポンプでは、注入途中でエラーが出て動作が停止してしまいました。

 まあ、予想はしていたこと。

 2軒目では、こちらのポンプで挑みます。

 すると・・・。

 パンッ、パンッと、あの小気味よい音が鳴り、ビードが上がりました。

 この時バルブコアは外していましたので、一旦空気を抜きバルブコアを装着後、規定量の空気を充填しました。

 いや〜、なんたる征服感!!

 遂に、念願であったバイクのタイヤの手組みに成功しました!!

 たいした苦労なく成功したポイントは、以下2点だと考えています。

  1. ビードヘルパーを使ったこと
  2. 前日にタイヤスプレーを噴いており、ビードの滑りがよかったこと

 反省点は、タイヤレバーで数箇所、ホイールリムに傷をつけてしまったこと。

 些少な傷なので目立ちませんし、タッチアップでサラリと修復できてしまうレベルですが、できれば傷をつけずに作業したいものです。

 傷は、すべてビードを落とす作業でできてしまったものです。ビードが嵌まったままの状態で、金属のタイヤレバーをリムとビードの隙間にねじ込みレバーをこじると、リムガードが外れてしまったりレバーが予測外の動きをしてしまったりで、傷がついてしまうのですね。

 つまり、ビードを落とす工程で傷をつけさえしなければ、無傷でのタイヤ交換が実現するわけです。

 ですので、今後のことを考え、ビードブレーカーを購入することにしました!

 この値段であれば、すぐに元が取れてしまいますね!

 自分でできることが増えることは、ホントに痛快です!

 皆さんも最低限の道具を準備し、ぜひチャレンジしてみてください!

2024/4/10追記

ビードブレーカーとビードクリームを新たに購入し、再チャレンジしました!
驚くほどカンタンにビードを落とすことができました。まさに、神工具。
内容をこちらの記事にまとめています。

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