Kindle書籍刊行のお知らせ


ドイツ車のDIYメンテナンスについて、書籍にまとめました。本ブログで紹介している具体的なメンテナンス方法に留まらず、ドイツ車の思想、整備のポイントをまとめ、メンテナンスに必要な工具類の紹介、部品調達の実例紹介、メンテナンス対象の油脂類や部品の劣化メカニズムまでを紹介しています。

kindle unlimitedで無料ダウンロードしてご覧ください。

詳細はこちら

カーラッピングフィルムの活用 -技術・材料の飛躍的な進化-

tips
2020.10 ラッピングに使用する機材。これに、デザインナイフとカッターナイフがあれば大抵のことはできます。

 愛車をデコレートするデカールやフィルムの類は、かなりの昔から発売されていました。

 しかし、こうしたフィルム類を綺麗に貼るのはプロのみの専門領域、我々素人には手の出せない、あるいは、気軽に手を出してしまったけれどぜんぜんうまく貼れず、直ちに後悔してしまうような類のことでした。

 フィルムがちょっとボディに触れただけで強固に張り付いてしまう、剥がそうとすれば糊がボディに残ってしまう、首尾よく剥がせてもその強力な粘着力が災いしてくしゃくしゃになってしまう、気泡が残れば何をやっても抜けない、というのが、私を含む多くの素人がこの手のフィルムに持つ印象だと思います。
 さんざの失敗を経てフィルムの存在なぞ忘れかけていたところ、ひょんなことからフィルムを活用できた方がはるかにリーズナブルにコトを済ませられそうな事態に遭遇し、何10年ぶりかにこの類のフィルムを購入することになりました。


 最初は、どうせうまくはいかないだろうから安いので済ませちまおうと、私の愛してやまないアストロプロダクツを訪れ、1520㎜幅×1000mm長で2000円弱也の安いフィルムを求めて (アストロプロダクツでは高いフィルムは売られていませんでした)、おっかなびっくりトライしてみました。どうやったらうまく、いや、うまくとまではいわないまでもどうやったら「何とか見られる」程度には施工できるだろうかと、アタマの中で何度もシミュレートしたことが効を奏したのか、思った以上の仕上がりで施工することができました。しかし、まだまだ満足レベル (≒クルマ好きの友人に堂々と話せるレベル)には達していません。フィルム貼りの技能以外に、何が足りないのか?
 上海で金ピカに光るフィルムに包まれたクルマを目撃して、初めてカーラッピングフィルムの存在を知りました。それからはや10年、カーラッピングフィルムは日本でも高級車市場において確固たる地位を確保し、十分にビジネスとして成立する製品のひとつに育っています。とすれば、プロが使用するカーラッピングフィルムにはメーカーの技術の粋が込められているのではないか?、と考えたのです。つい最近アストロプロダクツで購入したフィルムは昔のものよりもいくらかよくなってはいるものの、プロが商売物として使えるレベルではないと感じていました。もっと貼りやすく、入ってしまったシワ等のリカバーがしやすいような製品でなければ、商売として喰っていけるだけの効率と歩留まりを見込めないでしょう。

 と考え、3Mのウェブサイトを見ると、・・・・

カーラッピングの材料、周辺機材が大きな進化を遂げていたことを知りました!

 同社のカーラッピングフィルム 1080/2080シリーズは、

① 貼り付け時、位置合わせが容易な3M コントロールタック粘着剤を使用している、
② 貼り付け時に巻き込みエアを逃がす3M コンプライ粘着剤を有している、
③ 加熱による再剥離性を有している、

とあります。

コントロールタック。コンプライ粘着剤の説明図。3Mホームページより。

さらに調べれば、
① コントロール粘着剤とは、粘着剤の表面に微小ガラスビーズを配置した粘着剤のこと。つまり、ボディにフィルムをそっと置いても貼りつかないが、スキージー等でフィルム表面に圧力をかけると、ボディに接しているガラスビーズ群の隙間から粘着物質が染み出し貼りつく細工のされた粘着剤であること。
② コンプライ粘着剤とは、粘着剤の表面に格子状の溝を配した粘着剤のこと。つまり、フィルムが巻き込んだ空気が、表面をスキージする際に粘着剤表面の溝に沿って抜けていく細工のされた粘着剤であること。
③ 再剥離性とは、いったんは粘着させたフィルムを再び剥がして再施工できるという意味であり、加熱による再剥離性があるということは、多少の失敗があっても加熱すればフィルムを剥がせ、修正できるということ。
がわかりました。

やはり、プロが支持する製品には相当の技術が込められているようです。

 さらに、同社にはナイフレステープという革命的製品があることも知りました。
 この手のフィルムはある程度のテンションをかけ、被着体 (≒クルマのボディ)の形状によってはフィルムを伸ばしながら貼るものであり、あらかじめ型紙を起こしその通りにカットしたフィルムを (ノーテンションで)カットしたままの形でボディに貼るものではありません。つまり、フィルムを被着部分よりも大きめにカットしておき、貼り付けた後でカットする必要があります。しかし、自分のクルマならともかく、プロが顧客のクルマのボディにカッターをあてフィルムを切っていくことなどできません。ではどうするか?こんな時がナイフレステープの出番なのです。

 ナイフレステープはキャリアテープ (上右写真の緑色部)の中心にフィラメントを仕込んだテープで、ボディ上でラッピングフィルムをカットしたい位置に予め貼っておきます (写真左)。その上からラッピングフィルムを貼り (写真中)、キャリアテープに仕込まれたのフィラメントを引けば (写真右)、ナイフレステープを貼った通りの形状でボディに傷をつけることなくフィルムをカットできる (写真下)のです!これは、素晴らしい!!
 なお、ナイフレステープとして数種類が販売されていますが、カーラッピングフィルムに向くのはデザインラインとフィニッシュラインの2種のようです。前者はフィルムを曲線状にカットするのが得意な、後者は直線状にカットするのが得意な製品です。

不要なラップシートを剥がしたあとに残る緑色のキャリアテープを、忘れずに除去してください

 3Mのラッピングフィルム 1080/2080シリーズのブラックカーボン柄、およびナイフレステープのフィニッシュラインを購入して以降、私は非常に快適、かつ見栄えよくラッピングフィルムの施工ができるようになりました!それらの事例は、順次ご紹介していきます!!

 今回ご紹介した機材は、こちらになります。

① 3M カーラップフィルム 2080 カーボン柄


② 3M ナイフレステープ フィニッシュライン


 上記したキズ隠しのほか、トランクスポイラーをラッピングシートでカーボン調にデコレートしたときの記事をこちらに示します。

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

* いいねボタンでのご評価をお願いいたします!
*よりよいページにするために、皆様からのコメント、アドバイス、リクエスト、ご質問等々を大歓迎いたします。ページ下部のコメント欄から、ぜひお寄せ願います!

コメント

タイトルとURLをコピーしました