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BMW 冷却系に関する認識違いの可能性の訂正 -知識のアップデート-

修理・点検・メンテナンス
次の整備に向けて、物資を準備。BMW純正クーラント、精製水、エキスパンションタンク。

 ブログで紹介したものの、あとあとになって見返すと「間違ったことを記載しちゃったかな~」と思えることがいくつか見当たりました。お詫びを申し上げるとともに、ここに訂正を試みます。

1. BMW F10のサーモスタットについて
 まずはこちら、「BMWのレギュラーメンテナンス」ページに関することです。

 こちらの記事の「ウォーターポンプ/サーモスタット交換」の欄で、BMW F10のサーモスタットが「バイメタル方式」であることを前提として記事を記載しましたが、そうではなく「サーモエレメント方式」である可能性が高そうです。バイメタル方式はラジエターキャップの圧抜き機構に採用されることが多いのですが、そのことと混同して記事にしてしまいました。
 サーモエレメント方式というのは、封入したワックス (いわゆる、蝋。パラフィンワックスが多く用いられるようです)の体積が熱によって膨張/収縮することを動力とした弁機構で、詳細はこちらに譲ります。
 一部、BMWのサーモスタットは電磁弁式だという記載を見かけたことがありますが、確証は得られていません。確かに、このサーモスタットにはコネクタを介して2本のケーブルがつながっていましたが、私はこれは電磁弁駆動用ではなく温度検出用のケーブルだと思います。せっかくの機会、外した部品をサッサと廃棄せず、分解して構造をシッカリ理解してから捨てるべきでした・・・。

新旧のサーモスタット。上のサーモの矢印部分が、2本のケーブルを接続するコネクタです。

2. エキスパンションタンクの白いシミについて
 続いては、こちらの「エキスパンションタンクの不穏な白いシミ」に関することです。

 この記事において、エキスパンションタンクに白いシミ (LLC (Long Life Coolant)の乾いた跡)が残るのはエキスパンションタンクの割れる前兆かもしれない、と記載しましたが、必ずしも正しくはないことが判明しました。
 エキスパンションタンクにひび割れ等があり、そこからLLCが少量吹き出し白シミとして残った場合はタンクの割れる前兆である可能性が高いかもしれません。しかし、エキスパンションタンク内の圧抜きの役割を果たすキャップがその機能を果たし、そこから圧が抜ける際には圧と共に若干量のLLCが噴霧されるようです。噴霧されたLLCが乾けば白いシミが残りますが、これはごく正常のことであり、タンクの割れる前兆ではありません (BMW発行のTIS (Technical Information System)に明記されていました)
 つまり、エキスパンションタンクの白いシミには少なくとも二通りの起源があり、うちひとつは割れの前兆とは無関係である、言い換えれば、「エキスパンションタンクに白いシミがある = タンクが割れる前兆である」と直ちに診断を下すことは誤りだということになります
 これを念頭におき白いシミが残るエキスパンションタンクを観察すると、私のクルマにおける症状は割れの前兆ではないように思います。しかし、交換による費用効果が極めて高い (割れた場合の被害が極めて甚大であるのに対して、交換コストは安い)部材ではありますので、走行120,000㎞を超えた今、予防交換しておくべきと考え新品を購入しました。壊れると笑いごとで済まないパーツの代表格であり、OEM品ではなく純正品をリトアニアの部品商から取り寄せました。日本の部品商からOEM品を購入するのと変わらない値段で純正品を入手できました。

キャップを開けると、そこにも白いシミが。タンク上のシミと同様、LLCの乾いた跡でしょう。右のTISにある通り、タンク上にシミが残ること自体は異常ではありません。
TISの抜粋。

3. クーラントについて
 クーラントを自分で交換するのは初めてで、どれだけのクーラントが抜けるものかわかりませんでした。規格容量は9Lですが半分程度の4Lほどしか抜けない可能性も考えられ、もしそうなら今入っているのと同じクーラントを使いたいものです (問題ないのかもしれませんが、異なるクーラントを積極的に混在させたくはない)。以前 (4年ほど前)ショップで交換してもらったときに入れたのがWako’sのパワークーラントでしたので同じものを用意しましたが・・・。

 いざクーラントを抜くと、4年ほど前にショップで抜いたときは確かに青くて綺麗だったクーラントでしたが、今回自分で抜いたものは青味のかけらもないまっ茶なキタナイ水・・・・。ショップで抜いたときに入っていたクーラントはBMW純正、私が抜いたときに入っていたのはWako’sのパワークーラント。BMW純正もWako’sのパワークーラントも、どちらも使用期間は4年ほどです。

 クーラントが茶色く濁ったのは、クーラントそのもののせいだけではないかもしれません。しかし、ここで紹介したようにWako’sのパワークーラントを小分け入手するのは若干手間であること、純正クーラントの方が少なくともクーラント起因の不具合が起こる可能性は低いであろうことから、次回エキスパンションタンクを交換する際は純正クーラントにしてみようと思います。ただし、この純正クーラントは希釈式です。念には念を入れ、水道水ではなく精製水で希釈することにしましょう
(日本の水道水は軟水であるのに対して、欧州のそれは硬水。水道水の前提そのものが異なりますので、不用意に水道水を入れるくらいなら精製水の方がマシのように思います。)

上のボトルに入っているのがWako’sパワークーラントの新品、下のバケツに入っているのがその4年使用後。ここまで汚れるか・・・。

 ちなみに、クーラントは6Lほど抜けることがわかりました。つまり、抜けずにクルマに残るのは3Lほど。この程度の量であれば、クーラントを抜いた後に精製水で1、2回フラッシングすれば十分に薄まるでしょう。

 それと、純正クーラントって、Wako’sパワークーラントを小分けで売ってもらうよりもずっと安いのです・・・。下記リンクの通り、原液1.5Lで2,500円ほど。2倍希釈なのでこれで実質3Lと考えれば、800円ちょっと/L。パワークーラントの価格はこちらに示しましたが、純正の倍ほどです・・・。



 精製水は20Lほども準備しておけば、フラッシングも含めて充分に足りそうです。



 クーラントの交換手順については、こちらの記事でご紹介しています。

 

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

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