Kindle書籍刊行のお知らせ


ドイツ車のDIYメンテナンスについて、書籍にまとめました。本ブログで紹介している具体的なメンテナンス方法に留まらず、ドイツ車の思想、整備のポイントをまとめ、メンテナンスに必要な工具類の紹介、部品調達の実例紹介、メンテナンス対象の油脂類や部品の劣化メカニズムまでを紹介しています。

kindle unlimitedで無料ダウンロードしてご覧ください。

詳細はこちら

BMW F10の意外な泣き所、ステアリングシャフトカバー。これがダメになればン10万円の出費も

修理・点検・メンテナンス

 クルマは機械製品ですので(最近はコンピュータ製品だという声もありますが・・・)、箇所に応じたメインテナンスを定期的に実施していればそうそう壊れるものではありません。

 ところが、クルマ固有の欠陥といいましょうか、全く予想外のところがダメになり、それに伴い驚くほどの出費を強いられるケースもままあるようです。

 BMW F10の場合、その一つが「ステアリングシャフトカバー」です。

 いまやクルマは生産国だけで使用されるわけでなく、世界各国に輸出され、使用されています。世界各国の法令に合わせクルマを作り分けることなどコストの観点から到底できるわけもなく、ほとんどを共通仕様にしておき、細かい部分だけを仕向け地の法令に合わせて手当てするという方式が採られます。

 例えば、ハンドルの位置について。ボディには左右共にステアリングシャフトが通る穴を開けておき、右ハンドル仕様にしたければ左側の穴をふさいでやればよいという考え方が採られています。

 BMW F10の場合、このステアリングシャフトの穴はプラスティックカバーでふさがれ、その上にインシュレーターが配置されるのですが、この処置があまり適切でないようです。

 インシュレーターとプラスティックカバーの間には空間ができますが、ここには構造上雨水が浸入します。雨水はドレンホースから外に排出されるようになっていますが、このドレンホースが泥などで詰まり雨水が溜まったままになるとプラスティックカバーを劣化させ、そこから車内に雨水が浸入します。つまり、右ハンドル車の場合は助手席側から水が浸入し、助手席の床面下に蓄積されていきます。

 「あれれ、助手席下からタプタプ音がするな?」などと思ったときはすでに手遅れ、助手席の床面下に配置されたアクティブステアリング用のコンピューターが水没し、ン10万円の出費になるケースがたびたび報告されていました。

 たかだかのプラスティックカバーがダメになっただけでン10万円というのはさすがに泣けてきますので、さっそく私のクルマの状態確認と恒久対策を打ちます。

 ボンネットを開け、左(助手席)側でステアリングシャフトが通りそうな個所のインシュレーターを外します。これは、4本のトルクスネジで留まっています。場所がよくわからないよ、という方は、まず右側をよく観察してください。車内からステアリングシャフトがエンジンルーム内に通ってきていますから、反対側のそのあたりの位置のインシュレーターを外せばOKです。

 外したインシュレーターが、こちら。

 下側のゴムシール部からかなり上方まで(品質管理用の白い紙シールの半分くらいまで)、水が堆積した跡があります。しかも、ゴムシール部には結構な量の泥が堆積していました。

 はぁ~、いま点検しておいてよかった!

 ボディ側を見てみましょう。

 丸くて黄色いプラスティックカバーが、件のステアリングシャフトカバーです。ダメージはなさそうです。カバーの右下に白いホースが見えますが、これがドレンホースで、きちんと機能していたようです。このホースの下は泥らしき汚れで覆われていますので、万一ドレンホースが泥で詰まったりしてしまえば、ヤバかったかもしれません。

 ドレンホースで水を排出するのはいいのですが、そもそも、こんな水位になるまで水を貯めておく必要があるのでしょうか?私はその必要性は全くなく、水など貯まらない方がよいと思ったので、インシュレーターに細工をしました。

 まず、底部のシールの一部をカットします。そのうえで、4か所ほどの水抜き穴を開けておきました。これで、侵入した雨水が溜まってしまうことはないでしょう。最後に、私愛用のウルトラフォーミングクリーナーで洗浄します。



 さて、最後の仕上げです。

 今回私は自己責任でインシュレーターに細工を施しましたが、さらに万一に備え、ステアリングシャフトカバー周辺をブチルゴムで防水加工しました。

 使用したのは、こちらのブチルゴムです。昭和なカンジが懐かしいパッケージですが、これは使えます。



 リアドア内張りのインシュレーター剥がれによる雨水侵入はF10ならずBMW全般の弱点ですが、この時も私はこのブチルゴムで対処しました。本件については、また別途ご紹介します。

 これで、一安心。

 

 その他、BMW F10に固有と思われる弱点はこちらでご紹介しています。

 定期的な整備情報は、こちらでご確認ください。

 

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

* いいねボタンでのご評価をお願いいたします!
*よりよいページにするために、皆様からのコメント、アドバイス、リクエスト、ご質問等々を大歓迎いたします。ページ下部のコメント欄から、ぜひお寄せ願います!

コメント

  1. エンドウ より:

    はじめましてブログ拝見致しました。

    同じ車両を所有しております。

    エンジンは523dです、設計上メクラ蓋手前にあるインシュレーターは見えるのですが、手を伸ばしもインシュレーターのトルクスネジまで届かないです。公園の駐車場で作業しております。方法が有りましたら宜しくお願い致します。
    有料で作業はしていただけますか?

    • Kei より:

      エンドウさま

      コメントありがとうございます!
      返信が遅れてしまい、申し訳ありません。
      私の528iの場合、めくら蓋そのものを外すのはそれほど苦労しませんでした。もしかして、523dには邪魔な補器類があるのかもしれませんね。
      私の場合、外すのは容易でしたが、めくら蓋のネジを戻すのに苦労しました。斜めに刺さっていたネジ1本がどうしてもうまくかみ合わず、そのネジはあきらめました。
      お住まいは、どちらですか?近所であれば、アドバイスできるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました