タイヤの減りは4輪で一定ではなく、駆動形式やアライメントの狂い、個々の駐車事情等々により減り方に偏りが生じるのが普通です。
放置すれば特定のタイヤだけが極端に減ってしまう、それゆえまだ溝が残っているタイヤまでもが交換の必要に迫られるという、非常に不経済な状態に陥ります。経済問題の以前に、4輪の状態が異なるタイヤで走行することは、非常に危険なことでもあります。
そこで、前後左右のタイヤを定期的に入れ替えることで、4輪のタイヤの状態(≒減り量)の均一化を図り、安全の確保、さらにはタイヤライフの長寿命化を目指すのがタイヤローテーションと呼ばれるメンテナンスです。
このタイヤローテーション、4輪のタイヤサイズがすべて同じであれば最大の効果を享受することができるのですが、あいにく私のクルマは前後でサイズが異なります。フロント、リアタイヤの規格はそれぞれ 245/40 R19、275/35 R19、すなわちタイヤ前後の入れ替えは不可能で、入れ替えるとすれば左右の交換くらいしかありません。そのような中途半端なローテーションに、意味はあるのでしょうか?
私のクルマで、一定距離走行後の前後のタイヤの左右の減りの差を計測してみました。結果、後輪は左右のタイヤに減りの差はみられませんでしたが、前輪は左のタイヤの減りの方が早いことがわかりました。これは、毎回の駐車の際、ハンドルを目一杯左に切った状態で二度もバックしなければならないという駐車事情がその原因と思われます。ちなみに、私のクルマの操舵システムは4WS (4 Wheel Steering: 4輪操舵)、つまりハンドルを切れば後輪タイヤも向きを変えるわけですが、その向きの変位量は前輪と比べればごくごくわずか、左右のタイヤの減りに差を生じさせるようなレベルではないようです。
このことから、私の場合は定期的に前輪の左右のタイヤのローテーションを実施することは有効であろうとの結論に至りました。
以下記事でご紹介した通り、私は走行5,000㎞毎にオイル交換を実施します。この際には前輪を2輪とも持ち上げますので、毎回のオイル交換の際に前輪タイヤのローテーションを実施することにしています。
前輪タイヤのローテーションの手順を、以下に示します。
1. クルマのフロント部ジャッキアップ
ジャッキアップについては、こちらの記事の同じ項目をご参照ください。
ただし、ジャッキアップ前の、タイヤをスロープに乗り上げた時点で、すべてのホイールボルトを緩めてください。ジャッキアップした後にホイールレンチでボルトを緩めようとしても、ホイールが空回ってしまいうまくいきません。
2. ホイールの取り外し
ジャッキアップ後、まず2つのホイールボルトを外し、ホイールガイドボルト (写真左)を装着します(写真中)。その後、残り3つのホイールボルトを外し、タイヤを外します (写真右)。左右輪共に、同じ作業を実施します。
*ホイールガイドボルトがなくてもホイールの脱着は可能ですが、あった方が断然ラクです!輸入車乗りの方におすすめのアイテムです。
3. 左右輪の交換、ホイールボルトの締め付け
左右輪を交換(ローテーション)し、ホイールボルトを仮締めします。ジャッキダウンしタイヤをスロープに接地させたのち、締め付けトルク110N・mでホイールボルトを本締めします。
*必ずトルクレンチを使いましょう。トルク不足は走行中にタイヤが外れる可能性を誘発しますし、トルク過剰はホイール、およびホイールボルトのテーパー部を痛め、同じく走行中にタイヤが外れる可能性を誘発します。
以上で前輪のローテーションは終了です。
せっかくホイールを外したわけですので、私は毎回次の2つのオプション作業を実施します。
オプション作業1 -ホイールの洗浄、コーティング-
ホイールの裏表両面を中性洗剤で洗浄し、コーティングします。
ホイールコーティングに、私はドイツSONAX社の「ホイールコーティング」を使用しています。スプレーするだけでホイール表面にナノレベルのハスの葉状の構造を形成、ブレーキダストや汚れの付着を抑止するとともに付着してしまった汚れの固着を防止、スチーム洗浄だけで簡単に汚れを落とすことができます。オイル交換のスパン、つまり走行5,000km毎に施工するわけですが、コーティング効果の持続性も抜群で、次の施工のタイミングまで効果が持続します。同様のホイールコーティング剤は数多く市販されており、私もいくつか試しましたが、施工性、効果、効果持続性、コストパフォーマンスの点で優れる本品が、現在の私の定番になっています。
オプション作業2 -ゴム類の保護-
足回りにはゴムブーツが多用されています。これらは足回りの摺動部に充填されたグリスを封入しておくためのもので、経年劣化により破れると内部のグリスが飛散、また水や汚れが浸入し、期待される機能を発揮できなくなります。
国産車の場合はこのゴムブーツ単体の入手、交換が可能ですが、欧州車の多くはゴムブーツが装着された部材全体のアッセンブル交換が必要になるケースが多く、たかだかのゴムブーツの破れが高額な出費につながりかねません。このゴムブーツがちょっとでも長持ちしてくれるよう、私は写真のKUREのラバープロテクタントをたっぷりとスプレーします。その甲斐あってか、走行110,000㎞を超えた今に至るも目立った劣化はみられません。ゴムの劣化を防ぐケミカルは多々市販されていますが、私は昔からあるこちらのラバープロテクタント一筋です。
足回りへのスプレーのついでに、常に紫外線にさらされているウィンドウ周りのゴムパーツにもスプレーしておきます。こうした、重要だけれども交換することでなんらの効果を体感することができないパーツの交換作業はできるだけやりたくなく ( ̄∀ ̄)、少しでも延命させたいからです。
今回の作業に使用した工具類、ケミカル類を、以下にご紹介します。
① ホイールガイドボルト
→ これがあると、タイヤの脱着が断然ラクです。本製品の評価欄には否定的な意見 (ネジを締めてもガタが残るなど)も書かれていますが、私も本品がそんなに精度の高い製品だとは思いません。しかし、用途が用途ですので、多少精度が悪かろうが私にはこれで特に不満がありません。なお、ご自分の車両のホイールナットの規格と同じものをお求めください。私のクルマの場合、M14×1.25です。
② SONAX ホイールコーティング 436300
→ 案外と長持ちしますので、その間に少し外観が変わったようです(笑)
③ KURE ラバープロテクタント (300ml) ゴム製パーツ保護剤
→ ほんの少しの手間と愛情が、パーツの寿命を大きく伸ばすと信じています(笑)
④ プリセット型トルクレンチ (差込角 12.7sq) 120N・m
トルクレンチは、デジタル式のものよりも、機械式のもののほうが規定トルクに達した時にクリック感がしっかりと手に伝わり、トルク管理しやすいように思います (評価やレビューでも、機械式を推すものが多いように思います)。
20-100 Nm (9.5sq)、40-280 Nm (12.7sq)のレンジをカバーする2本があれば、エンジン整備から足回り整備まで、ひとととおりのトルク管理が可能です。安物ではなく、トルク校正のされた信頼の東日製作所の製品をおすすめします。
⑤ ホイールボルトレンチ (差込角12.7sq) 17mm
→ホイールボルトレンチ (日本社風に表記すれば、ホイールナットレンチ)は、安価ですが作りのよいアストロプロダクツ製品を利用しています。傷つけ防止のためにレンチ自体にプラスチックカバーが装着されている点が、安心です。
その他、BMWのレギュラーメインテナンスについてはこちらをご参照ください。
今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!
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