このブログに何度も登場していますが、鳴子温泉郷は私の最も好きな温泉場の一つです。
1種類の源泉を複数の旅館で分け合う、それが一般的な温泉場の姿だと思います。
例えば草津温泉なら、強酸性のきつい湯が特徴で、草津温泉のどの公衆浴場や温泉宿でもほとんど同じ湯が供されます。例えば奥飛騨温泉郷なら、どの温泉宿でも硫黄の湯、といった具合。
ところが、鳴子温泉は違うのです。
こちらの記事でもご紹介したので繰り返しになりますが、日本国内に存在する温泉の種類は11種類、そのうちの9種類までもがここ鳴子温泉にあるのです。ですので、温泉宿によって源泉の種類が異なるどころか、1つの温泉宿に複数の源泉が存在する、なんてこともあるのです。
私は2年ほど宮城県の北部の町に住み、鳴子温泉にはしょっちゅう出かけていました。自宅から1時間もかからない距離でしたので充分に日帰りできるのですが、湯治文化の名残りでもある「自炊部」を利用すれば格安で宿泊できますので、温泉や湯治場の風情、それから酒をゆっくりと愉しむために泊まってしまう、なんてことも多かったのです。
その中でもよく宿泊したのが、今回紹介する姥の湯です。
湯治場の雰囲気を色濃く残している上に館内に4つもの源泉を有していること、そしてなによりも安く愉しめるからです。自炊部であれば、確か1泊3,000円ほどでした。
姥の湯には、2つの玄関があります。
1つは冒頭の写真に示した自炊部の玄関、もう一つは以下に示す旅館部の玄関です。ほかではなかなか見かけない画かもしれませんが、湯治文化の根付くここ東北ではよくある風景です。ええ、湯治文化を愛する私は、もちろん裏側の玄関ばかりです(笑)。下の写真が表の玄関 (旅館部の玄関)ですが、冒頭に示した裏の玄関 (自炊部の玄関)と比べると、相応の差がありますね(笑)。
旅館部と自炊部の主な違いを、以下に列挙します。
① 旅館部は1泊2食付きが基本。自炊部は文字通り自炊か持ち込み。自炊部には共同炊事場があり、鍋釜食器類が備えられています。
② 旅館部は自室と共用スペースが鍵付きのドアで仕切られています。自炊部では、襖を開けるとすぐ共用スペース(廊下)です。鍵なんかついていません。貴重品は、クルマに置いときます。今ではすっかり慣れてしまいましたが、こうしたスタイルを初めて経験したときは、「エッ?マジで??」と面喰ってしまいました。
③ 旅館部の電気は使い放題。自炊部では、1泊500円ほどでコンセント使用権を買います。コンセントが特殊形状をしており、このようなアダプターを借りないと通常のプラグが挿せません。また、ガスは自販機の元祖のようなこんなレトロな機械に10円玉を投入して使用します。
④ 旅館部はエアコン完備。自炊部では、冬場は別料金でストーブやコタツを借ります。旅館によっては、持込み可です。涼しい東北のこと、夏は団扇でこと足ります。団扇は無料(笑)。下の写真で廊下にパイプが渡っているのが見えますが、これは冬場の館内暖房です。このパイプに温泉を通し、暖を得るのです。これだけでもかなり暖かくなるものです。
些細な(?)差はあれど住めば都、私はもっぱら自炊部です。
さて、温泉です。
姥の湯にある、それぞれ泉質の異なる温泉をかけ流した4つの湯殿の写真です。どれがどの源泉かは忘れてしまいましたが(源泉にこだわりのあるタイプではないのです)、湯の色を見ていただければ、泉質がちょっと違う、というレベルではなく、まるで泉質の異なる温泉を4つも愉しめるということが即座にお分かりになるでしょう。
こちらが、宿のレトロなフロント。帳場と呼ぶ方が、しっくりくるでしょうか。フロント横に、温泉の説明書きがありました。
姥の湯の詳細は、同館のホームページでご確認ください。
最後に、私的鳴子温泉グルメをご紹介します。
それは、おにぎりです。
ただのおにぎりではないのです。ここから少し離れますが、同じ鳴子温泉郷に属する鬼首(おにこうべ)地区で栽培された、「ゆきむすび」という品種の米で握られたおにぎりなのです。この「ゆきむすび」、鬼首地区でだけ栽培されるため生産量が極めて少なく、宮城県内でもこのエリア以外での入手が難しいという幻の米です。冷めてもうまさが保たれるというのが特徴で、おにぎりには最適の米だそうです。収穫後の米も自然乾燥、手塩にかけられた米で味はピカイチです。ゆきむすびのおにぎりは、鳴子駅からメインストリートに出てすぐにある蕎麦屋で買うことが私は多いのですが、どこかしこの商店に「ゆきむすびあります」と看板が出ています。下の田んぼの写真はゆきむすびの産地である鬼首地区で撮影したものですが、収穫された米はカントリーエレベーターによる強制乾燥ではなく、昔ながらの自然乾燥に処されます。この手間暇が、味に反映されているのかもしれませんね。
姥の湯の空室検索、ご予約は、こちらから。
今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!
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