こちらの記事で、琵琶湖疎水の概要と疎水を遊覧するびわ湖疎水線についてご紹介しました。
琵琶湖疎水とは琵琶湖の水を京都に運ぶ水路 (疎水)で、全長約20㎞の第1疎水、同7.4kmの第2疎水、同3.3㎞の疎水分線で構成された、明治時代の建造物です。
今回は、この琵琶湖疎水を自転車で散策した様子をご紹介します。
ルートについて、私は大津市の皇子山運動公園にクルマを駐車させていただき (無料でした)、大津側から京都側に向かい、同じ行程を引き返すルートを採りました。
まず、自転車を取り出し、組み立てます。私はリアシートを倒したところに前輪を外した自転車を収納し、フロントフォーク付近とボトルゲージ付近の2か所をバンドで固定する方法で自転車を積んでいます。
皇子山運動公園から、まずは大津側の琵琶湖疎水の入り口、つまりは取水口に向かいます。
琵琶湖疎水の建設は明治の頃の技術では国家プロジェクトに匹敵する事業で、隧道の各洞門には当時の著名人が揮毫した扁額が掲げられています。この扁額を見て廻るのも、琵琶湖疎水散策の楽しみのひとつです。
この第一トンネル上部の扁額が伊藤博文の手になる記号ですが、立地がよくなく残念ながらはっきりと観ることができません。「気象萬千 (様々に変化する風光は素晴らしい)」と書かれているようです。
水がトンネンルを抜ける間、我々は峠を越えねばなりません。第一隧道の入口を付近で左折し、寺社群、墓地群を抜け小関峠に入ります。サイクリング、散策の方にはこの小関峠が一番の難関かもしれません。
小関峠の頂上に到着すると、こんどは下り。え~!こんなところを??という急坂を下っていきます。
この峠を下る途中に、第一堅杭 (シャフト)があります。これは、大津川と京都側からトンネルを掘り進むだけでなく、その間に地表から地底に向けて堅杭を掘り換気、採光に利用、またここを起点に両サイドに向け採掘を進めたそうです。この堅杭の長さは約50m、堅杭から地下水が噴出する等の想定外のトラブルに見舞われ苦労があったようですが、この堅杭が本プロジェクトを成功に導いたと、プロジェクト責任者の田邊朔朗は回想したそうです。
第一堅杭を過ぎ、普門寺の先からは民家も増え、一気に道がわかりにくくなります。時々配置される立て看板だけでは、迷子になってしまうでしょう (はい、私もシッカリと迷ってしまいました)。何某かのマップは、必ず必要です。ネット上にはいくつものマップが供されていますが、私にはこちらの京阪電車様ご提供のマップが一番わかりやすかったです。
小関峠を超え無事疎水に辿りつくと、目に入るのが第一隧道の出口です。こちらの揮毫も見学しづらい位置にあるのですが、山形有朋の手になる「廓其有容 (疎水をたたえる大地は、奥深く広々としている)」の扁額が掲げられています。
美しい紅葉の路を走り、四宮船溜に至ります。疎水には計5ヵ所に船溜が設けられていたそうですが、ここで荷物の積み下ろしをしたり、船頭が休憩したりしたそうです。
青鷺の佇むトンネルを超え (写真左)、見事な紅葉を魅せる桜 (写真中)を横切ります。洛東高校の横に、明治20年製の煉瓦トンネルがあります。これは、疎水の水と京都の山々からの水の双方を活用できるようにと作られた、用水の立体交差です (写真右)。
第二トンネル付近で休んでいると、何やら大音響が響いてきました。おおお!、これがびわ湖疎水船か~!!疎水の水を溢れんばかりに揺らし、通り過ぎます。一度乗ってみたいな~~!
第二トンネルに扁額された揮毫は、入口、出口ともによく見ることができます。
入口は井上馨の手になる「仁以山悦智為水欺 (仁者は動かない山に悦び、智者は流れゆく水に悦ぶ」、出口は西郷従道の手になる「随山至水源 (山に沿って行くと水源に辿りつく)」です。疎水船は、けっこうひっきりなしに往来します。
第3トンネルの入り口は、松方正義の手になる揮毫「過雨看松色 (時雨が過ぎると、一段と鮮やかな松の緑を見ることができる)」です。
それを過ぎると、日本初のコンクリート橋が。かなり老朽化しているからでしょう、ガッチガチに追補強されています。傍の石碑には、「日本初のコンクリート橋」程度のことを「本邦最初鐵筋混疑土橋」と難しく表しています (コンクリートなる言葉がまだなかったのでしょうね)。
いますよね~、私たちの周辺にも。とっても簡単なことをわざわざ難しくして言う人が(笑)。
さあ、最後のクライマックスが近づきます。
皆さん、気分良く坂を下りすぎないでください!!安養寺の入口と、この看板を必ず右に折れてください!!ええ、私はインクラインの人だかりを見て行き過ぎに気づき、結構な坂をかなりの距離引き返しましたとさ (涙)・・・。写真左の石看板、戦前からのものでしょうか。
坂を上ると、九条山ポンプ場に至ります (写真左)。ここは、びわ湖疎水船の乗り場にもなっています。最近多いですが、びわ湖疎水船の乗船には”当日券の販売はありません。事前予約が必須です”。
ちなみにこの前日、私は正倉院展を観に奈良にいましたが、当日券は販売しておらず、観ることができませんでした(涙)・・・・・。
さて、蹴上インクライン。船を疎水から引き揚げ (写真中)、南禅寺まで約582m、高低差約36mを10分から15分かけて船が往来します。写真右は山側から南禅寺側を望んでいますが、これを逆の南禅寺側から見た当時の人々は、「舟、山に登る」と、びっくり仰天だったそうです。
写真左は、本願寺水道と呼ばれる、明治の頃の東本願寺防災システムです。ここから東本願寺までの約4.6㎞、高低差48mをベルギー製の鋳鉄管でむずび、自然水圧で水を噴き上げるというものです。江戸の時期に火事で4度も消失してしまったことを契機に建造されたようです。ただし、老朽化により2008年に停水したそうです。写真中が、この一大プロジェクトを率いた田邊塑朗博士の像。疎水の水は、発電にも用いられます (写真左)。蹴上インクラインはモーター駆動ですが (なんと、直流だそうです)、その電力もここで賄われました。
発電所のあたりで、愛車をパチリ。
このあと砂利の敷かれた蹴上インクラインを南禅寺に向けて下ることになりますが、山上では確かに存在したあるものが、坂を下るうちに失われることになります。これが、私のこの日のあとの楽しみを奪ってしまいます・・・。
さて、疎水の旅のゴールである南禅寺。ここの煉瓦水道の美しさは、つとに有名ですね。
煉瓦水道に愛車をあずけて、パチリ。
あれれ???何かが足りない???
そうです!右フロントフォークに装着したTOPEAK フロントヴァーサケージとそれに括り付けていたチェーンロックが、ない!!がたがた振動のする道をかなりの距離走りましたので、ネジが振動で外れてしまったのでしょう・・・・。
チェーンロックを紛失した時点で、六波羅蜜寺で空也像を、六道珍皇寺であの世とこの世の境目を見ようという目論見は崩れ去りました。寺の門前にノーロックで自転車を放置しておいて無事で済むほど私の徳は深くはありませんし、日本の社会も成熟してません。
そればかりか、腹ペコにして旨いものを喰おう!という、もっと本能的な欲求さえままなりません。この点については、自転車をひっくり返して前輪を外し、前輪と共にコンビニでお弁当のお買い物、で済ませました。
平安神宮のあたりまで下りてくると、私の好きなタイプの文化施設が立ち並びます。
京都国立近代美術館に、京都市京セラ美術館。
2017.04.29-08.06の期間、国立近代美術館では
「技を極める ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸」
という非常に画期的な企画展が開催されました。
ヴァン クリーフ&アーペル (Van Cleef & Arpels)は、1906年にパリに創業したハイジュエリーの老舗ですが、王侯貴族をもうならせる彼らの逸品を一堂に集めたのが、この企画展でした。私は5月に訪れましたが、この展示はポスターからして秀逸でした。展示品一覧を、こちらに示します。
同じような企画展として、上海でティファニーのコレクション展を観ましたが、これもまた秀逸なものでした。
(パンフレットのサイズが特殊で、うまくスキャンできないのが残念です)
この展示は、上海の繁華街外灘のはずれにある豫園近くの商業施設で開催されていました。豫園の露天でハサミの一筆切り絵で作ってもらった私の似顔絵です(笑)。眠たげですね~。
ここ豫園内にある、上海きっての有名店 南翔饅頭店で食べた小籠包がとてもおいしかったです。
さて帰りがけ、インクラインをえっちらおっちら上っていると、・・・・、あれれれれ???
落としてしまった、ヴァーサケージとチェーンロックを発見!!!一瞬、六波羅蜜寺と六道珍皇寺に向かおうかと思いましたが、雨模様になってきたのでそのまま大津に戻ることにしました。
私は、よく失くすけどあとで見つかることが多いです。日頃の行いがよいからだということにしておきましょう!(賛同してくれる人は、残念ながらあまりいませんが・・・)
この時、チェーンロックはハンドルに、ヴァーサケージはズボンのベルトループに括り付けました。こんな時に大活躍するのが、こちらです!!ちょっとした固定に、またいざというときの補修に(かなりの力をかけることができます)、必ず力になってくれます。私はクルマにも自転車にも数本常備しています。
今回のサイクリング概要です。
総走行距離は32.91km、総所要時間約5時間のうち自転車での移動時間は約3時間でした。しばらく自転車に乗っておらず体力的に少し落ちてはいましたが、無理のないよい運動になりました。
私の愛用するCAT EYE パドローネスマート (写真左)と、CAT EYE アプリケーションのスクリーンショットです (写真中、同右)
以下、サイクリングにおける私のおすすめグッズです。
① TOPEAK Versa Cage (ヴァーサケージ)
フロントフォークに荷物を収納するためのケージです。普段はチェーンロックをぶら下げていますが、のんびり戸外で本を読んだりお茶を飲んだりしたい時は、ここにモンベルの小型タープを装着します。秋口や冬場などは防寒着、夏場は雨具をここに装着することもできる、便利なケージです。フォークに取り付けるアタッチメントも付属しますので、ダボ穴が開いてなくとも装着できます。
② TOPEAK モジュラーケージ2
装着品に合わせてサイズ調整のできるドリンクホルダーです。市販のペットボトルをセットしたり、小型の工具入れやパンク修理キット、チューブをセットしたり。その時々のシチュエーションに合わせ、様々な使い方ができます。
③ CAT EYE パドローネスマート
スマートフォンとつながるサイクルコンピュータです。私はサイクリング時にスマートフォンを常備し、ミラーモード (スマホのGPSで計測した速度をコンピュータに表示)で使用しています。表示が大きく、見やすい点が気に入っています。最小限の機能ですので電池の持ちがよく (私の場合、半年程度)、どこでも購入できるサイズ (CR2032)であるのがよいです。
④ ねじ止め剤
今回の教訓から、①のヴァーサケージ装着に必須と分かりました。このケージに付属のアタッチメントはプラスチック台座に金属のネジでケージをを締め込むタイプですが、相手がプラスチックですのであまり強く締め込むことができません。そんな時こそ、ねじ止め剤の出番です。信頼のヘンケル社製 (私の好きな、ドイツのメーカーです)。3つ (強、中、弱)の強度ラインアップがありますが、しょっちゅう外すものではありませんので、中強度がちょうどよいです (中強度はほかの用途にも展開しやすいので、おすすめです)。
今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!
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