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大津市立歴史博物館 (滋賀県大津市) -大津絵との出会い-

博物館・美術館
2020.10 歴史博物館の入り口を背に、琵琶湖を望む

 滋賀県は、多様な史跡、資料、美術品等に恵まれた都道府県のひとつです。
 理由として、滋賀県は古代、中世の時代に都のあった都市の近くに位置し都の文化の影響を強く受けたこと (大津には都 (大津宮)が置かれた時代もあります)、また良きにつけ悪しきにつけ様々な理由をもち風雅な都人が移り住んだことなどあり、多様な史跡等が今に残されたものと思われます。そのせいでしょうか、他の都道府県に比べ、ハッと目を引く博物館・美術館の数が多いように思います。なお、滋賀県の県庁所在地である大津市は、市町村単位での国指定文化財保有数が京都市、奈良市に次いで国内第3位だそうです。

 滋賀県にある博物館のうち、現時点で私の一番のお気に入りは滋賀県立琵琶湖博物館 (滋賀県草津市)です。詳しくは別のページでご紹介しますが、こちらは琵琶湖の地質学的な歴史、琵琶湖と周辺地域の民俗、文化、風習との関わり、琵琶湖や世界の古代湖に茂る草木や生息する生物等を総合的に展示した博物館で、歴史や民俗のみならずサイエンスの観点からも非常に興味深い博物館だと思います。

 久しぶり (何年ぶりかな?恐らく、3年以上ぶり)に琵琶湖博物館に行こう!、と思い立ち早朝に出発、空いた道路を気持ちよく駆け抜け現地に到着したましたが、どうも様子がおかしい
 駐車場には、「本日の展示は終了しました。 入場時間 10:00-16:00」の看板が。んんっ?まだ14:00ですぜ??休館日は月曜日のはず、今日は土曜日なんですけど・・・。
 駐車場 から博物館に続く気持ちのよい小路を歩いていても、例の看板がちらほらと・・・。何かがおかしい!
 博物館の入り口に到着すると・・・。ドアは閉ざされ、果たして、こんなポスターが!!!

ガーン⤵ ( ゚д゚) そういうことでしたか・・・・。はるばるやってきたのですが・・・(泣)
琵琶湖博物館は、ただいま絶賛リニューアル中!リニューアルオープンは、来週末の10/10であるとのこと!!・・・・
(行く前に、調べろよな・・・)

ま、いっか! 楽しみなことが一つ増えたということで(涙目)!!!

 さて気を取り直し、お隣の市、大津市にある大津市立歴史博物館を訪れることにしました
 のっけから当て馬的な扱いをしてしまいましたこと、大津市立歴史博物館様におかれましてははどうか平にご勘弁いただきたいのですが、実はここを訪れるのは二度目、初回訪問時 (2016年)にここで「大津絵」の存在を初めて知り、その魅力にガッチリハマり、骨董屋でいろいろと古画を買い求めるに至ったという、想い入れの深い博物館です

 この博物館の特徴は、上記の「大津絵」の紹介に加え、その展示の順番にあります。
 多くの歴史博物館の展示順序は、縄文時代から始まり、古代、中世、近世、戦時中、高度成長期、現在と今後の展望で終わるパターン。私の訪れた (玉石混合の)数多くの歴史博物館の99%がこのパターンであるように思います。
 この博物館の展示場入り口は1Fにありますが、まずは戦国時代からスタートそれはそうでしょう!!、織田信長、豊臣秀吉、明智光秀などなど、戦国時代の大スターが居城、あるいは深いゆかりを持った土地ですから!!この博物館の展示物は、全展示の7割程度をこの時代を中心とした中世が占めている印象を持ちます。2Fの展示スペースは1Fのそれの6割程度ですが、2Fの展示はまず大津宮から始まり、ようやく縄文・弥生時代の展示がちょろっとある、そこからまた中世につながる、といった、これまで私が観た中では非常に珍しい、思い切った構成になっています
 この日は、ミニ企画展として「明智光秀と在郷土豪 (2020.7.7-2020.10.11)」が開催されていましたが、光秀と土豪のやり取りの書簡の展示がほとんど、また多くがレプリカでした。レプリカが大キライ(レプリカで満足できるくらいなら、わざわざ足を伸ばさずとも本を見れば足りる・・・)な上に、浅学な私は自分の読めない古文書には全く興味を覚えず、足早に通過してしまいました。

 さて、話を大津絵に移しましょう。 
 大津絵はこの宿場町の土産物として出回った画に過ぎませんでしたが、松尾芭蕉が、
 大津絵の筆の始まりは何仏
という句を詠んで以降、江戸の世に広く知られることになりました
 大津絵は仏画を起源に持ち、大津の宿場町の土産物として、また徳川幕府の切支丹弾圧に対抗すべく切支丹でない証として旅に携行する絵として、江戸時代の庶民の間で大流行した民画です。土産物としてジャンジャン売り捌かねばならぬものですから、作画に時間をかけるわけにはいきません。サッと描けるよう簡素化された画線、勢いのある速筆化等、あらゆる無駄が省かれた画風に進化しましたが、このシンプルな下絵に大津絵五色という色の調和が相重なり、非常に特徴的な印象を放ちます。ただし、大津絵のこの性質から推察できる通りすべてが無銘品であり、当時描かれたものの多くが家の壁や柱に気軽に貼られたまま間もなく消滅する運命を辿り、当時物で現在まで残る絵は極めて少なくなっているというのが現状のようです。この点が、高額な在銘品として大切に扱われてきた浮世絵とは大きく性質を異にする部分です。

 私の大津絵コレクション (ちょっと大げさか?(笑))の一部を紹介します。

左: 鬼の寒念仏
 小児の夜泣きを止め悪魔を払うまじない画

中: 藤娘
 愛嬌加わり良縁を得るまじない画

右: 鷹
 利益を収め失物を得るまじない画

 上記を加え、大津絵には全部で10種類の代表画題があるそうです。これについて詳しいサイトを、このあとご紹介します。 

 大津絵のユニークな図柄は画に留まらず、大小さまざまな置物としても庶民に愛されたようです。写真に示した大津絵土人形、大津絵土鈴、など。
(かなりステキ!欲しい・・・。)

大津絵土人形。背後に、大津絵掛軸。
大津絵土鈴。

 大津絵は今でも販売されており、こちらのサイトに大津絵の代表的な十絵柄、またこちらのページにはギャラリーが展開されています。因みに、私のお気に入りの図柄は、鬼の寒念仏、雷公の太鼓釣り、藤娘、瓢箪鯰などなど。

 また、大津市のまちかどには大津絵の代表作柄のプレートがそこかしこに点在しています。これらについて、こちら「大津市まちかど 大津絵ギャラリー」にまとめました (2020.11更新)

 大津絵について、以下の書籍で詳しく知ることができます

① 大津絵 日本民藝館所蔵 (尾久彰三 監修、内海貞子 翻訳,  東方出版株式会社, 2005年)
 当時描かれたまま残った大津絵を鑑賞してみたい方にお勧めする本です。英訳も併記されており、日本の美を外国人に紹介するのにも役立ちそうです。
(こういう分野って、普段は使用しないボキャブラリーが求められるので、いざ英語で伝えようとしても言葉が出てこないんですよね・・・。海外とビジネスをされる方に共通だと思うのですが、仕事の話は全く支障なくとも、食事中にいきなりガーデニングの話をされても何言っているのかよくわからず困る、というのと同じパターン)



② 日本の美 大津絵入門 (石原芦堂 著, 壮光舎印刷株式会社, 1997年)
 この本には、古くから残る大津絵の図案は掲載されていません。大津絵の特徴を知り、自分で描いてみよう!という方に最適の本です。


 この博物館を訪れ、とてもうれしいニュースを得ました!!
 こちらで金木町 (青森県五所川原市)のご紹介をした際、雲翔寺で鑑賞した地獄絵に感銘を受けいくつかの書籍を求めたこと、それらを通じて地獄絵のマスターピースは滋賀県の聖衆来迎寺が所蔵する国宝 六道絵であると知ったこと、を記しました。
 当然、直ちに聖衆来迎寺を訪ねようとしましたが、同寺のホームページよれば同寺で六道絵が一般公開されるのは、毎年8月中の3日間に行われる虫干しの期間だけであることが判明。一年待ちかよ~⤵、と激しく意気消沈しましたが、大津市立歴史博物館で私が目にしたポスターは!!!じゃじゃ~ん!!!

 これはうれしい!!願ったり叶ったり!!

 琵琶湖博物館も2020.10.10にリニューアルオープンしますし、1ヶ月以内に滋賀県を再訪すること確定ですね!!

 金木町の訪問を機に聖衆来迎寺の六道絵に辿り着き、このタイミングで大津市立歴史博物館を訪れなかったら、この企画展の開催を知ることはありませんでした (ポスターを見ても、素通りしてしまっていたでしょう)。興味を持った事象は点として独立に存在しているのではなく、事象同士がどこかで繋がり線になり、面に育っていくのかもしれません。

 博物館とは少し話が逸れますが、皆さん琵琶湖疎水をご存知でしょうか?
 これは琵琶湖の水を京都に運ぶ水路 (疎水)で、全長約20㎞の第1疎水、同7.4kmの第2疎水、同3.3㎞の疎水分線で構成された、明治時代の建造物です。写真左は私の撮影した大津市三保ヶ崎の取水口付近の様子です。この取水口から京都蹴上までの区間は風光明媚な散策路として有名ですが、散策の所要時間は2時間強の約140分、なかなかのものですね (私はまだ、歩いたことはありません)。特に、南禅寺を走る高架水路は紅葉に映える秋の風物詩として非常に有名ですね。実現に向けては様々な論争、調整を要したそうですが、2018年以後、大津-蹴上間を観光船 びわ湖疎水線が就航したそうです。詳細は、こちらをご参照ください。

琵琶湖疎水の取水口。桜の枝に隠れていますが、右手に写る船が琵琶湖疎水線の遊覧船かもしれません。
琵琶湖の水を、京都に運ぶ。

 最後に、滋賀県民との会話おいてゼッタイに留意しておかねばならぬ遵守事項をご紹介します。特に、近接する京都、奈良、大阪にお住まいの方、ご注意ください
(近接県でも、琵琶湖の水の恩恵が比較的目立たない岐阜、福井、三重ご在住の方は特段気にする必要はありません。)
滋賀県民と口喧嘩をしても、完膚なきまで言い負かすことをゼッタイにしてはなりません!。なぜなら、彼らをそのような状態にまで追い込んでしまうと必ず、そんなんいうなら、琵琶湖の水止めてまうぞ!と言い放つからです!それをいっちゃあ、おしめぇよ・・・。

大津市立博物館の基本情報
所在地: 滋賀県大津市御陵町2番2号
開館時間・休館日: 09:00-17:00 ・ 月曜日ほか休館
観覧料: 330円 (特別展の場合は、別途)
URL: http://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/
駐車場: 無料駐車場あり
見どころ: 大津絵、戦国時代の展示物

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

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