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高山市郊外にあるちょっと風変わりな美術館「光ミュージアム」を訪れる -岐阜県高山市-

博物館・美術館
2021.07 光ミュージアム正面

 郡上から続くせせらぎ街道を走り高山市内に入ると、屋根上に赤い玉をのせたひときわ大きな建物が目につきます。ある宗教団体の建物のようです。この団体が立派な博物館を主宰していることは知ってはいましたが、これまで行かず仕舞いでした。こんな魅惑的なポスターで「世界の仮面展」なる特別企画展を開催しているとのこと、この機会に訪れてみましょう。

 ミュージアムに到着しました。外観からはそうとはわからないのですが、これはピラミッドを模した建物だそうです。あとで内部を紹介しますが、中から見るとこの建物がピラミッド様であることがよくわかります。仮面展の他に、須田剋太展も開催されているようです。 須田剋太の名前は知っていましたが、その作品をシッカリと鑑賞するのはこれが初めてです。これは、楽しみ。

 これが、建物内部です。
 底面が地中に埋まり、外部からはその頂点しか見えないのでわからないのですが、中に入ってみれば、このミュージアムのメインの建物がピラミッド様であることを知ります。しつらえられた能舞台が立派です。

 まず、「西洋絵画・日本近代洋画」の展示室に入ります。

 ゴッホの「洗濯をする農婦」、モネの「ジヴェルニーの草原、朝」といった印象派の巨匠の作品に加え、私はモーリス・ユリトロによる「ラ・フェルテ・ミロン城」という作品が特に気に入りました。

  ユリトロについて私は何も知りませんでしたが、後で調べると近代のフランスの画家で(1883-1955)、もとは飲酒治療の一環だった描画が評価された画家のようです。酒に溺れていた期間は光と明暗法の調和を特徴とする作品を多く残し、「白の時代」と呼ばれます。すると、この「 ラ・フェルテ・ミロン城」 も、作風から推察するに、白の時代の作品なのかもしれません。なお、 ラ・フェルテ・ミロンは地名ですが、この1ヶ月ほどあとに大原美術館(岡山県倉敷市)でコローの「ラ・フェルテ・ミロンの風景」を偶然にも堪能することになりました。ラ・フェルテ・ミロン続きの夏でした(笑)。

ラ・フェルテ・ミロン城 (モーリス・ユリトロ)
棟方志功の屏風

 展示室を出て能舞台に向かう道すがら、青森の生んだ巨匠 棟方志功の屏風が飾られています。赤と青の雷様が画面いっぱいに、躍動感に満ちて描かれています。私にとって棟方志功といえば青森八甲田山の酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)なのですが、これについては別の機会に紹介させていただきましょう。

 そして、企画展示の一つ、世界の仮面展です。

 やはりポスターに掲載されるだけあって、イタリア ヴェネツィアのマスクカーニバルで使われる仮面の妖艶さがピカイチでした。

 このマスクカーニバル、1162年にヴェネツィアの旧名であるセレニシマ共和国がアクイレイア総大司教ウルリコに勝利したとき、人々がサンマルコ広場に集結しダンスに酔いしれたことが起源だそうです。政治、宗教の絡みでしょうから、顔を見られることを避けて仮面を被ったのでしょう。

 ほかは、(キリスト教徒以外にはなじみの薄い)悪魔を模したマスク、また我々にはなじみ深い鬼、特に秋田健男鹿半島のなまはげなど、恐ろしい仮面、ファンキーな仮面が目白押しでした。「仮面」を題材にした企画展は他ではそうお目にかかることはなく、とても工夫された展示だと感じました。

 それから、もう一つの企画展示である須田剋太の展示場へ。

  須田剋太について、私は雑誌の特集で読んだ程度の知識しかありませんでしたが、司馬遼太郎の「街道をゆく」の挿絵で著名な洋画家だそうです。型にはまらない、枠から大きくはみ出したような奔放さが溢れる作品群が魅力的でした。

 いくつかの書も展示されていました。私は書、なかでも綺麗な書にあまり興味がない、というよりも残念なことにこれらに対する鑑賞眼が全くないのですが、綺麗を追求したのでない彼の書 (書は気合だそうです)には、何か惹かれるものを感じました。

遊女
蓬莱窮鼠

 

 上中央の作品「蟻」、これはサラリーマン的生き方に疑問を感じ始めた私には痛烈でした。このサラリーマンという働き方、あるレベルを超えれば確かに相応のカネにはなるので、教育という形で投じた投資の回収という観点ではなかなかに効率的なのかもしれません。でもな~、なんか最近ゼンゼン腑に落ちね~んだよな~(苦笑)。ちなみにこの作品の蟻、生きた蟻に適切なモチーフが見つからず死骸に目をやると、ピッタリなのが見つかったそうです。非常によくわかる気がしますが、なんだか笑えないな~。

 紹介し切れませんが、このほかにも日本のコレクションも秀逸でした。かなりの数の浮世絵 (版画だけでなく肉筆画も)のコレクションもありました。

 2Fには、飛騨展示館と人類史展示室等が。

 飛騨展示館といえばここで紹介したような飛騨の匠に関する展示かなと楽しみにしていたのですが、ゼンゼン違いました。太古の昔の地球の成り立ちの頃の飛騨の様子を紹介したものでした。地域の博物館といえば、縄文の頃からのその地の様子を示した展示がほとんどなのですが、今度ご紹介しようと考えている岐阜県立博物館 (岐阜県関市)も然り、岐阜県には地球の起源にまで遡る展示をする博物館が多いように思います。お隣の福井県はかつて恐竜で栄えた地として有名ですが、中部地方のこのあたりは太古の日本の起源と何か深いかかわりがあるのかもしれません。ちょっと勉強してみようかな。

 人類史展示室は、この地に根差す人々の起源に留まらず、広く世界の文明の起源を扱っています。こうしたスケールの展示を観るのは初めてで、唸るような内容でした。

 正直なところちょっと敬遠していた感もある光ミュージアムでしたが、期待をはるかに上回る博物館でした。高山市内から少々離れていますが、飛騨高山観光の際はぜひお寄りください。

 

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

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