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三次もののけミュージアム (広島県三次市)で、「京都からやってきた妖怪たち」を観る

博物館・美術館
2020.10 現在の三次市を舞台とした、稲生物怪録の一部。日本妖怪博物館ホームページより。

 広島県三次市に、「日本妖怪博物館 三次もののけミュージアム」なる博物館があることは知っていました。
 2016年夏に「大妖怪展」と名付けられた妖怪、幽霊画の展示を観て以降、これらのジャンルに俄然興味を持ち、企画展を探しては鑑賞してきました。このジャンルに特化した博物館があるなら真っ先に訪れてもよさそうなものですが、日頃の雑事にかまけ、叶わず仕舞いでした。
 が、国立民族学博物館を訪れた時、こんな魅惑的なポスターを見つけてしまいました。

 ちょうどこの期間に、島根県益田市の島根県立岩見美術館でこちらの一大企画展が開催されていたこともあり、これを機会に両方+αを観覧することに決め、愛車で駆けることにしました。

 さて、こちらの三次もののけミュージアム、正式名称

 湯本豪一記念 日本妖怪博物館

で、三次もののけミュージアムは愛称のようです。

です。

 名称に冠された湯本豪一氏は民俗学者で、氏が収集した約5000点ものコレクションの寄贈を受けた三次市が2019年4月に設立した新しい博物館です。湯本氏は東京出身で、三次市で学んだわけでも同市で働いたわけでもないようです。ではなぜ、氏は自らのコレクションを三次市に寄贈したのか?
 全国の広い範囲にわたって伝承している妖怪物語の代表作に、「稲生物怪録 (いのうもののけろく)」があります。その舞台が現在の広島県三次市で、氏は同市を妖怪の故郷と捉え膨大なコレクションの寄託の地と選んだそうです。冒頭に示したアイキャッチ画像は、稲生物怪録の一部分を示したものです。

博物館の門をくぐると・・・
ファンキーな妖怪がお出迎え
このご時世、アマビエは引張りだこですね
博物館に入ると
展示場の入り口につながります

 妖怪という言葉を聞いたとき、ろくろ首やお岩さん、大入道など、誰しも妖怪の名のひとつやふたつは頭に浮かぶはずです。それほど我々の生活、もっといえば日本の文化に深く根差した妖怪ですが、それはいつの時代から我々の生活との関連を持ち始めたのでしょうか?
 闇や不思議がいまよりもずっと身近なものだった時代、暗闇にうごめく得体のしれない存在や人智を超えた自然現象などへの恐れが、妖怪を生み出しました。妖怪は人の営みのすぐ近くにあり、世代を超えて人から人へ伝承されてきました。
 そして妖怪は、南北朝時代 (十四世紀頃)になると固有の姿をもって絵巻物などに姿を現すようになります。当初は「土蜘蛛」や「酒呑童子」など単独で描かれましたが、やがて「百鬼夜行絵巻」のように群衆で描かれる妖怪たち (魑魅魍魎)も現れました。時代を下るにつれ妖怪のバリエーションは豊かさを増し、我々の生活や文化に深く根付くことになったのです。

妖怪たちの行列をユーモラスに描いた「百鬼夜行絵巻」。
百鬼夜行絵巻の最古の作品は大徳寺真珠庵 (京都市)に所蔵される室町時代に描かれた絵巻(伝土佐光信筆)ですが、百鬼夜行絵巻は表現の自由度の高いテーマであったことから描かれ続けるうちに創作が加えられ、多彩な変容を遂げました。

 素晴らしい刺子の展示がありました。大富豪の趣味人が羽織っていたものでしょう、裏地に九尾の狐図を刺子で描いた半纏です。刺子は非常に高価なもので、単純な模様が刺されたものでも現在の金額で何十万円もします。この半纏は、恐らく目の玉の飛び出るほどの対価と引き換えに誂えられたものなのでしょう。

 懐かしいものを見つけました!駄菓子屋で買いましたね~!

 これ以外に、私には「ようかいけむり」(正式名称は、「おばけカードけむり」だそうです)が懐かしく思えます。こちらFNNプライムオンラインの記事によれば、ようかいけむりはつい最近まで製造されていましたが、今年の夏頃に惜しくも製造が打ち切りとなってしまったようです。

FNNプライムオンラインの記事より引用。
https://www.fnn.jp/articles/-/80566

 隣接した展示場では、一室を割いてここ三次市を舞台とした稲生物怪録のさまざまなバリエーションが展示、解説されています。

 さて、今回の企画展「京都からやってきた妖怪たち」は、最終展示室いっぱいに展開されていました。

 この企画展は、同博物館と国際日本文化研究センター (日文研、京都市)のコラボレーションにより実現したものです。
 日文研は1987年に設立された研究機関で、日本文化を国際的な視野で、学際的かつ総合的に研究せんとしています。国際民族学博物館などと同様、国からの交付金で運営される大学共同利用機関のひとつになっています。

 妖怪は日本文化を考えるうえで欠かせない要素であるにもかかわらず、これまで学術的に扱われることがほとんどありませんでした。とはいえ、妖怪は民俗学、国文学、歴史学、美術史など学際的に広い意義を持ち得る題材で、日文研はかねてより妖怪に関する資料の収集を進めてきました。その中の資料の一部を「京都からやってきた妖怪たち」としてここ三次で展示した、というのが今回の企画展の趣旨だそうです。

 下の画は、妖怪四季風俗絵巻の部分絵です。これまでその存在を知りませんでしたが、ユーモラスでとても魅力的な画です。

 ほかに、稲生物怪録、月岡芳年の浮世絵等々、貴重なコレクションを十二分に楽しみました。
 今回の企画展の出品リストを、こちらに掲載しました。

 出口では、我々にとってとてもなじみの深い妖怪、河童に見送ってもらいました。時節柄、マスクをご着用です。

痛恨のピンボケ!

 三次もののけミュージアムのパンフレットを、こちらに示しました。

 妖怪画に少しご興味をお持ちいただけましたでしょうか?
 最近、妖怪と幽霊に関するガイドブックが発売されました。日本各地の妖怪を分布地や種類によって分類し、その詳細を解説しています。また、江戸時代の作品については葛飾北斎、河鍋暁斎、月岡芳年、歌川国芳ら時代を代表する絵師の代表作が紹介されています。本にはなかなか登場する機会のない、幽霊画 (美人画)の特集もあります!
 充実した内容で学ぶによし、またユニークな画が多く眺めて楽しむによしの、充実の一冊です。

 

 本博物館では、10.30-31の期間で「日本初 もののけハロウィン」が開催される (た)ようです。
 また、次回の企画展は「あやかしの舞 -神楽から見る妖怪-」。う~ん、これもまた心をガッチリ鷲掴みにするポスター。うまいな~。



三次もののけミュージアムの基本情報
所在地: 広島県三次市三次町1691番地4
開館時間・休館日: 09:30-17:00 ・ 原則水曜日、年末年始 (12/29~1/3)
観覧料: 480円 / 600円 (展示見学のみ / チームラボもお楽しみの場合)
URL: https://miyoshi-mononoke.jp/
駐車場: 無料駐車場あり 
見どころ: 妖怪に関する、国内随一のコレクション展示

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

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