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ユーザー車検制度で、便利に、簡単に、最小限の費用でBMWの車検を通す!

修理・点検・メンテナンス

 BMW社最後のシルキーシックスに乗り出してはや10年強、これまで5回の車検を受けてきました。

 最初の2回、つまり5年間はBMW社の車両保証プランに加入していたこともありディーラーで実施しましたが、それ以後はユーザー車検制度を活用して実施しました。

 本記事では、ユーザー車検のあれこれについてご紹介します。

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ユーザー車検のメリット/デメリット

 ユーザー車検の最大のメリットは、やはり費用が圧倒的に安く済むことです。

 ディーラー等で車検を実施すれば、自分が日頃実施しているような点検や整備、また、ごくごく簡単な書類手続きで、驚くほどの費用を請求されることがわかります。これらを「いつも通り」自分で実施することで、余計な費用を削減できる点が最大のメリットです。

 また、ユーザー車検は運輸局で行いますが、予約がフレキシブルなこともメリットかもしれません。

 予約枠には十分に余裕があるようで、私の場合はいつも前日には予約しますが、空きがなくて予約できなかった、ということはこれまでに一度もありません。当日予約でも、たいていの場合は問題ないようです(前日の予約に不備があり、当日に予約し直したこともあります)。ディーラ車検のように何週間も前から予約することなく、仕事の空きを見てさっと受検できてしまいます。

 デメリットは特に思いつきませんが、強いて挙げれば、土日は受検できないことくらいでしょうか。

 ただし、車検を管轄する運輸局は典型的なお役所で、お盆や年末年始、ゴールデンウィーク期間であってもカレンダー通りの営業ですので、長期休暇の間に受検することも可能です。

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ユーザー車検を受けるための資格

 「自分の」車両を「自分で」整備してユーザー車検に通す限り、自動車整備士のような公的な資格は必要ありません。ただし、車両の整備不良は自分や他人の命にかかわることですから、自身で責任をもって車両整備できることが大前提となります。
 
 車両整備なんてできないよ、という方は自動車整備工場で整備してもらい、車検、つまり検査だけを自身で通すという手もありますが、上記のメリット(費用、予約の自由度)はかなり薄れてしまうので、そのような方はいっそ全部自動車整備工場にお任せするのがよいかもしれません。

 ただし、「他人の」車両を「営利目的で」整備し、車検を通す際は必ず公的資格が必要になることにご注意ください。

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ユーザー車検を受ける場所

 居住地に最寄りの運輸局で受検できます。車検証に記載の所有者や使用者の住所を管轄する運輸局である必要はありません。

 現に、私は車検証に記載の住所は大阪でしたが、宮城県や三重県でも車検を受けました。身分証明書等の提示を求められることはありませんので、県境付近にお住まいの方は、もし他県の運輸局の方が近ければ他県で受けるのでも問題ないでしょう。

ユーザー車検に必要な書類

 必要な書類は、以下の7種となります。

 書類作成を代書屋(行政書士)に依頼することもできるようですが、車検証を手に、見本の通りに書けば済むことで、難しいことも迷うこともないレベルですので、ぜひご自分で記載ください

 下記書類のうち、5.、6.、7.は、現地に備え付けの用紙に記載します。筆記具(ボールペン、鉛筆)は、準備されています。

1. 自動車検査証
 いわゆる、車検証です。最新のもの(基本的には現在有効なもの)が必要です。

2. 自動車損害賠償責任保険証明書 (新旧の2枚)
 いわゆる、任意保険です。有効期日が迫った旧いものと、有効期日以降2年間分加入した新しいものが必要になります。運輸局内で加入することができます。

3. 定期点検整備記録簿
 ユーザー車検の場合、自分で車両を検査した記録です。定められたフォーマットはなく、ネットではいくつかのフォームが出回っています。書きやすいものを選びましょう。私の例を、以下に示します。

 なお、「後整備」と称して車検を通した後に整備をする、というのも認められるようです。つまり、車検時点では整備はしていないため定期点検整備記録簿は出さなくてもよいようなのです。ただ、クルマの整備は自分や他人の命にかかわることですので、きちんと点検、整備をしてその記録を提出することが基本だと私は思います。

4. 自動車税納税証明書
 毎年4月1日現在の自動車の保有者に対して課される税金の納付証明書です。これまでは証明書の提出が必須でしたが、納税情報の電子化に伴い、最近は提出不要なケースも多いようです。今回、私は提示を求められませんでしたが、もしお持ちなら持参した方がよいでしょう(インターネットでキャッシュレス決済した場合等、そもそも証明書が発行されないケースもあるようです)。

5. 継続検査申請書
 車検合格後に、新規車検証の発行に必要な事項を記入するOCR用紙です。

6. 自動車検査票
 受検ラインで各種検査が終了するたびに、自動検査記録機に挿入し、検査結果を記録するための用紙です。ナンバーや車台番号等車両を特定する情報を記載するほか、検査手数料分の印紙を貼付します。

7. 自動車重量税納付書
 向こう2年分の、自動車重量税納付書です。車種に応じた金額分の印紙を貼付します。

ユーザー車検に要する費用 

 まず、ユーザー車検であろうがディーラー車検であろうが必ず必要になる、法定費用を列挙します。

 金額は車種等によって異なりますが、下記は私のクルマ (BMW F10 528i)の場合の例です。

  1. 自動車重量税  \32,800.-
  2. 自賠責保険料  \25,850.-
  3. 検査登録印  \400.-
  4. 継続検査料  \1,800.

 法定費用合計 \60,850

 次に、場合に応じて必要になる費用を例示します。

 事前テスト料金¥3,600

 運輸局周辺には、「テスター屋」なる自動車検査業者がいます。テスター屋では、実際の車検で検査される一部項目を予め検査、必要に応じて調整してもらうことができます。検査項目は、概ね以下となります。

 ・光軸
 ・排気ガス
 ・サイドスリップ
 ・スピードメーター

 上記のうち、光軸だけは車検直前に専用機器を用いて調整しておくのがよいでしょう。光軸は走っているうちにずれていきますので、2年前調整したから大丈夫、ということはなく、必ず何らかの調整が入ります。更に私はヘッドライトを外したりしていますので、光軸調整は必須ですね(笑)。

光軸だけの検査でよい場合は\1,800.-で済むようですが、私はいつもフルセットでお願いしています。

 毎度ちょっと💢つくのは、ガイシャだと料金が数100円ほど高いこと。測定、調整内容も同じで特別な工具が必要であるわけでもないのに、なんでこんな中途半端な差をつけるの?と思ってしまいます。
 

ユーザー車検当日の持ち物

 事前準備が必要な上記の書類と、現金のみです。

 運輸局ではまだまだキャッシュレス化が進んでいませんので、必ず現金を準備ください。

 印鑑は不要になりました (念のため、持って行ってもよいと思います)。

ユーザー車検の実際

 私の車両の、5回目の車検の様子を実況しましょう!

 陸運局に入る前に、テスター屋に寄ります。

 フルセット検査をお願いしましたが、思わぬトラブルが・・・。

 なんと、光軸が調整範囲外になってしまっているとのこと!
 (光軸調整ネジで調整できる範囲を超えて光軸がずれてしまっている)

 以前ヘッドライトを取り外した左なら心当たりがあるのですが、調整範囲外になっているのは右側とのこと。バンパー外してライト本体を少しずらしてやればよいのでしょうが、そんな準備はしておらず、その作業を今からやるのは全くの想定外で激しくメンドくさい・・・。

 すると、「ローでは規格内に収められませんでしたので、ハイ側で合わせておきました。」とのこと。一瞬、そんなテキトーでよいの??と思いましたが、ハイかローのどちらかが規格内に入れば大丈夫とのこと。マジですか??

 そして、「ロー側がずれていると他車の迷惑になりますので、車検が終わったらまたここに寄ってください。ロー側でできる限りの調整をしますね。」と。ライト以外にも何か問題があればすぐにここに来てくれと、なかなか親切です。これまで3社のテスター屋さんにお世話になってきましたが、どこもとても親切でした!

 さて、運輸局に入ります。

使い方の分からない自動受付機
すべての書類が揃いました

 上記した書類を記載し、自動車重量税、検査料金等の印紙を購入、自賠責保険に加入したら、継続車検の受付を行います。イマドキは受付は無人で、コンピュータで対応です。やり方がわからないので、遠慮なくベルを鳴らし、係員に教えてもらいます。

 運輸局に客としてやってくるのは、会社名の入ったつなぎを着用しているなど、明らかにクルマ業界と分かる人ばかり。私のように私服を着て、あたりをきょろきょろしているような人は一目で素人と判断され、とても親切に対応いただけます。

 さて、検査ラインに向かいましょう。

 検査コースに入り、順番を待ちます。

 いよいよ、自分の番。

 最初は、排ガス検査です。以前まではクルマを下りて、検査プローブを自分でクルマのマフラーに差し込まねばならなかったのですが、いまは検査員がやってくれるようです。

 次いで、エンジンルームのチェックです。

 ボンネットを開けてください、と言われたら、ボンネットのロックを解除するだけでなく、クルマを下りてボンネットを開けるところまで自分でやらねばなりません。

 各検査が終わるたびに、下の写真のような記録器に検査票を挿し込み、結果を印字します。これも、基本は自分でやります。

 ただ、ユーザー車検の受験者がここにやってくるのは2年に1回だけ。毎日のようにここを訪れる業界人とは、手際が全く違います。係員は一発で素人を見極め、「初めてですか?では伴走しますね」と、とても親切に対応してくれます。

 運輸局では素人に塩対応することなく、むしろとても親切に対応してくれます。ナメられたらイケナイ、などと構えることなく、わかんないので教えてください、という、リラックスした態度で臨みましょう。

 電光掲示板の指示通りに進むと、いよいよ懸案のライトの検査です。

 ロー側の検査は、左右共に×表示でした。すると検査員からハイビームにしてくださいと言われ、ハイ側の検査。今度は両方とも〇表示でした。

 「ハイ、結果を印字してください」と言われ記録器に差し込むと合格の印が押され、一安心です。
 とはいえ、普段よく使うロー側の光軸がずれていると他車に迷惑をかけないか、一抹の不安はあります。車検後に、しっかりと整備するようにしましょう。

 すべての検査が終わった後、私は別のラインでの検査を指示されました。

 下記の記事で紹介しましたが、私はフロントサイドウィンドウに透明の遮熱フィルムを貼っています。明らかに透明なのですが、フロント3面のいずれかにフィルムを貼っている車両はすべて、透過率の検査がされるようです。
(下に示した検査票で、フィルムを貼ったフロント左右の透過率測定結果が手書きで記入されています)

 指示された検査ラインに改めて並び透過率を測定、すべての検査で合格となりました!

サンダルで車検場に行けば、そりゃ一発で素人認定されるよね・・・。ちょっと非常識だったかも。

 あとは陸運局の事務所に戻り、新しい車検証と車検有効期限シールを受け取って、車検完了です。

 忘れてはなりません。テスター屋に戻って、ライトの光軸を再調整してもらいます。

 すると、今度はなぜかロー側で規格内に収まったとのこと。最近の車両はライトもコンピュータ制御されており、たまにこうしたわけのわからない現象も起こるそうです。よくわかりませんが、まあ、よしとしておきましょう(苦笑)。

 メンテナンスや整備を行うのは車検のためでなく、毎日の安全運行のためだということが大前提ですが、次回以降は車検で検査されるポイント、その検査で合格判定を得るための整備について紹介する予定です。

 なお、ドイツ車のDIYメンテナンスのポイントは、下記私の著書で詳しく紹介しています。
 ぜひご覧ください!

 

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

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